【統合報告書アワード】日経/GPIF/WICIが選ぶ統合報告書の好事例(2025)

はじめに

現在国内では、主に以下3つの機関が統合報告書の表彰(選定)を行っています。

  1. 日本経済新聞社「日経統合報告書アワード」
  2. 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)『GPIFの国内株式運用機関が選ぶ「優れた統合報告書」と「改善度の高い統合報告書」』
  3. WICIジャパン「WICI 統合リポート・アウォード」

本記事では、上記3機関が表彰(選定)した企業をリストアップするとともに、人的資本について、特に先進的な開示を行っている企業をご紹介します。

1. 日経統合報告書アワード

日経統合報告書アワードは日本経済新聞社が主催、金融庁、経済産業省、日本公認会計士協会が後援する国内最大級の統合報告書アワードです。2024年は過去最大の475社・団体が参加し、以下の60社が受賞しました。

アワード企業名市場区分業種区分
総合グランプリデンソープライム輸送用機器
総合グランプリ日本ペイントホールディングスプライム化学
総合グランプリ丸紅プライム卸売業
グランプリE賞積水化学工業プライム化学
グランプリS賞しずおかフィナンシャルグループプライム銀行業
グランプリS賞積水ハウスプライム建設業
グランプリG賞栗田工業プライム機械
準グランプリ旭化成プライム化学
準グランプリイトーキプライムその他製品
準グランプリ伊藤忠商事プライム卸売業
準グランプリSWCCプライム非鉄金属
準グランプリオリックスプライムその他金融業
準グランプリ富士通プライム電気機器
新人賞エイチ・ツー・オーリテイリングプライム小売業
優秀賞アシックスプライムその他製品
優秀賞アステラス製薬プライム医薬品
優秀賞石原産業プライム化学
優秀賞ANAホールディングスプライム空運業
優秀賞SCSKプライム情報・通信業
優秀賞NTTデータグループプライム情報・通信業
優秀賞大塚ホールディングスプライム医薬品
優秀賞オムロンプライム電気機器
優秀賞花王プライム化学
優秀賞カナデビアプライム機械
優秀賞兼松プライム卸売業
優秀賞キリンホールディングスプライム食料品
優秀賞クボタプライム機械
優秀賞KDDIプライム情報・通信業
優秀賞小松製作所プライム機械
優秀賞Sansanプライム情報・通信業
優秀賞参天製薬プライム医薬品
優秀賞住友化学プライム化学
優秀賞住友ゴム工業プライムゴム製品
優秀賞セイコーエプソンプライム電気機器
優秀賞ソフトバンクプライム情報・通信業
優秀賞大成建設プライム建設業
優秀賞大和証券グループ本社プライム証券、商品先物取引業
優秀賞TDKプライム電気機器
優秀賞ディッププライムサービス業
優秀賞東急不動産ホールディングスプライム不動産業
優秀賞東京応化工業プライム化学
優秀賞戸田建設プライム建設業
優秀賞ニチレイプライム食料品
優秀賞野村総合研究所プライム情報・通信業
優秀賞パーソルホールディングスプライムサービス業
優秀賞日立製作所プライム電気機器
優秀賞富士フイルムホールディングスプライム化学
優秀賞本田技研工業プライム輸送用機器
優秀賞三井住友トラストグループプライム銀行業
優秀賞三井物産プライム卸売業
優秀賞三井不動産プライム不動産業
優秀賞三越伊勢丹ホールディングスプライム小売業
優秀賞三菱重工業プライム機械
優秀賞三菱商事プライム卸売業
優秀賞ミネベアミツミプライム電気機器
優秀賞村田製作所プライム電気機器
優秀賞ゆうちょ銀行プライム銀行業
優秀賞横浜ゴムプライムゴム製品
優秀賞リゾートトラストプライムサービス業
優秀賞レゾナック・ホールディングスプライム化学
https://ps.nikkei.com/nira/result24.html

2. GPIFの国内株式運用機関が選ぶ「優れた統合報告書」

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が国内株式の運用を委託している運用機関18社が評価した統合報告書のリストです。「優れた統合報告書」として78社が選定されています。

企業名市場区分業種区分
INPEXプライム鉱業
住友林業プライム建設業
大和ハウス工業プライム建設業
積水ハウスプライム建設業
森永製菓プライム食料品
アサヒグループホールディングスプライム食料品
不二製油グループ本社プライム食料品
双日プライム卸売業
味の素プライム食料品
クラレプライム化学
旭化成プライム化学
レゾナック・ホールディングスプライム化学
信越化学工業プライム化学
三井化学プライム化学
三菱ケミカルグループプライム化学
積水化学工業プライム化学
UBEプライム化学
野村総合研究所プライム情報・通信業
花王プライム化学
アステラス製薬プライム医薬品
中外製薬プライム医薬品
参天製薬プライム医薬品
富士フイルムホールディングスプライム化学
デクセリアルズプライム化学
出光興産プライム石油・石炭製品
ブリヂストンプライムゴム製品
AGCプライムガラス・土石製品
JFEホールディングスプライム鉄鋼
東洋製罐グループホールディングスプライム金属製品
LIXILプライム金属製品
リクルートホールディングスプライムサービス業
小松製作所プライム機械
クボタプライム機械
荏原製作所プライム機械
日立製作所プライム電気機器
オムロンプライム電気機器
日本電気プライム電気機器
富士通プライム電気機器
日本信号プライム電気機器
ソニーグループプライム電気機器
TDKプライム電気機器
デンソープライム輸送用機器
ウシオ電機プライム電気機器
村田製作所プライム電気機器
三菱重工業プライム機械
コンコルディア・フィナンシャルグループプライム銀行業
フタバ産業プライム輸送用機器
本田技研工業プライム輸送用機器
北國フィナンシャルホールディングスプライム銀行業
HOYAプライム精密機器
キヤノンプライム電気機器
バンダイナムコホールディングスプライムその他製品
NISSHAプライムその他製品
アシックスプライムその他製品
エフピコプライム化学
イトーキプライムその他製品
伊藤忠商事プライム卸売業
三井物産プライム卸売業
東京エレクトロンプライム電気機器
三菱商事プライム卸売業
ユニ・チャームプライム化学
サンリオプライム卸売業
日本瓦斯プライム小売業
丸井グループプライム小売業
イオンプライム小売業
三菱UFJフィナンシャル・グループプライム銀行業
三井住友トラストグループプライム銀行業
千葉銀行プライム銀行業
山陰合同銀行プライム銀行業
みずほフィナンシャルグループプライム銀行業
オリックスプライムその他金融業
第一生命ホールディングスプライム保険業
東京海上ホールディングスプライム保険業
三井不動産プライム不動産業
東海旅客鉄道プライム陸運業
ANAホールディングスプライム空運業
九州電力プライム電気・ガス業
SCSKプライム情報・通信業
https://www.gpif.go.jp/esg-stw/20250311_integration_report.pdf

3. WICIジャパン 統合リポート・アウォード

統合報告(Integrated Reporting)の普及活動を推進するWICIジャパンが開催するアワードです。
本年は以下の8社が受賞しました。

企業名市場区分業種区分
Gold Award伊藤忠商事プライム卸売業
Gold AwardTDKプライム電気機器
Gold Award野村総合研究所プライム情報・通信業
Silver Award東京応化工業プライム化学
Silver Awardロームプライム電気機器
Bronze AwardMS&ADインシュアランスグループホールディングスプライム保険業
Bronze Award塩野義製薬プライム医薬品
Special Awardイトーキプライムその他製品
https://wici-global.com/index_ja/event/integrated_report_award/

統合報告書における人的資本開示の好事例

上記3機関のすべてが表彰(選定)した、伊藤忠商事、TDK、野村総合研究所、イトーキの開示事例をご紹介します。

伊藤忠商事

企業価値向上の向上にむけた「資本コストの低減」の文脈から人的資本経営の推進に言及がなされています。
また、エンゲージメントサーベイ(2023年度は簡易版)によって抽出された「若手・中堅社員の更なる働きがい創出」「組織の壁を超えた人材・アイデアの共有」「多様な価値観への対応」に対して、具体施策を実行していることが明確に示されています。

伊藤忠商事 統合レポート
伊藤忠商事「統合レポート2024」pp.80,81

TDK

CEOメッセージにて、非財務資本は将来的な財務的価の創造につながる「未財務資本」であり、特に「人」を最重視する旨のメッセージが示されています。
また、PBRの向上と人的資本を含む「未財務資本」の関係性をツリー図で整理されています。

TDK 統合報告書
TDK「統合報告書2024」p.20

野村総合研究所

CEOメッセージでも「付加価値で差別化を図るために必要な人的資本戦略を強い信念で実施」と述べられており、特に人材育成について、制度や仕組み、投資額に至るまで具体的、網羅的な開示がなされています。
また、中期経営計画に対する人事施策の柱とKPI、その目標値と実績値が明示されています。

野村総合研究所 統合レポート
野村総合研究所「統合レポート」p.60

イトーキ

経営目標と人材戦略にかかるビジョン、テーマ、アクション、アウトプットの連動をツリー図を用いて可視化しています。
また、人事本部長と営業メンバーとの座談会や、人事制度改革、人的資本投資、エンゲージメントスコアなど、定性・定量の両面で豊富なコンテンツが示されています。

イトーキ「統合報告書2024」p.59

終わりに

企業価値レポーティング・ラボによると、2024年の統合報告書発行企業数は1,177社となりました。このうち上場企業が1,090社と、初めて1,000社を超えました。
ESG投資の拡大にかかる投資家からの要求や、非財務資本の評価による企業価値の向上、マルチステークホルダーコミュニケーションの深化等の文脈で、統合報告書の発行企業は今後もますます増加、高度化することが予想されます。

弊社コトラは、業種や企業規模を問わず、統合報告書や有価証券報告書、人的資本レポート等における人的資本開示のご支援を行っております。
「有価証券報告書、統合報告書でどのように開示すれば投資家や求職者に評価されるのかわからない」、「同業他社と比較した自社の水準感を知りたい」、「ISO 30414について詳しく教えてほしい」などのお悩みがあれば、ぜひ一度、お問い合わせください。


コンサルタント紹介

杉江 幸一郎
ディレクター ISO30414リードコンサルタント

東京大学経済学部経営学科卒。大手メーカー、通信事業者、IT企業など上場事業会社にて経営企画、事業戦略、新規事業立ち上げ等の責任者を歴任。上場企業取締役、CISO および ISO事務局等も担当。

コトラでは、ISO30414を始めとした人的資本経営のコンサルティングに従事。ISO30414リードコンサルタント。ESG情報開示研究会、人的資本経営コンソーシアム、地方創生SDGs官民連携プラットフォーム会員。
X(旧Twitter):@Kotora_cnsl


蘇木 亮太
コンサルタント ISO30414リードコンサルタント

同志社大学法学部卒。大手教育系企業でのコンサルタント経験を経て、金融系スタートアップに入社。 組織・人事企画チームに所属し、エンゲージメント向上施策やDE&I推進、研修開発、人事制度運用等を担当。

コトラでは、有価証券報告書・統合報告書における人的資本開示、ISO30414、人事組織コンサル等に従事。ISO30414リードコンサルタント資格/日本ディープラーニング協会G検定保有者。


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