人材獲得競争を勝ち抜く一手 「ダイバーシティ経営」がもたらす採用力強化

「選ばれる企業」になるための、決定的な一手とは?

「優秀な人材の応募が集まらない」
「採用しても、価値観のミスマッチからか早期離職が多い」
「グローバルな事業展開を見据え、多様なバックグラウンドを持つ人材が必要だ」

こうした課題は、多くの企業の経営者や人事責任者の方々にとって、喫緊の経営課題となっているのではないでしょうか。労働人口の減少が加速する日本において、旧来の採用手法や画一的な組織運営のままでは、企業が求める人材を確保することはますます困難になっています。

この深刻な課題に対する有効な一手こそが、「ダイバーシティ経営」の推進です。本コラムでは、ダイバーシティ経営がいかにして企業の採用力を高めるのか、その戦略的なメリットに焦点を当てて、具体的な実践方法とともに解説します。

なぜ多様性が「選ばれる理由」になるのか?:現代の求職者の価値観

現代の求職者は企業を選ぶ際、給与や待遇といった条件面だけでなく、「その企業で働くことに意義を見出せるか」「自分らしくいられる環境か」といった点を、より重視する傾向が見られます。多くの求職者が、多様な価値観が尊重され、個々の能力が正当に評価されるインクルーシブな職場環境を求めているのです。

ダイバーシティ経営を積極的に推進し、その取り組みを社外に発信している企業は、こうした求職者に対して強力なメッセージを発信することができます。それは、「当社は、あなたの個性や能力を尊重し、活躍の機会を提供します」という明確な約束です。これは、他社との差別化を図る上で非常に大きなメリットとなり、企業の採用ブランディングに直結します。

コトラが着目するのは、ダイバーシティ経営が単なる「イメージアップ戦略」に留まらない点です。その本質は、多様な人材一人ひとりのキャリア自律を支援し、それぞれのスキルや能力を最大限に活かす仕組みを構築することにあります。

例えば、コトラが支援する「スキルベース型人事制度」の導入は、年齢や性別、学歴といった属性ではなく、純粋に個人の持つスキルによって評価・処遇が決まる公平性を担保します。(スキルベース型人事制度についてもっと知りたい方は、以下のコラムをご参照ください。)

このような仕組みは、自身の能力を正当に評価され、成長したいと願う優秀な人材にとって、極めて魅力的に映ります。ダイバーシティ経営の推進は、「多様な人材を惹きつける」という採用上のメリットだけでなく、入社後のミスマッチを防ぎ、エンゲージメントを高めるという定着の側面にも好影響をもたらすのです。この実践こそが、真の意味でダイバーシティ経営のメリットを享受する道筋です。

優秀な人材を惹きつけ、定着させるための実践的アプローチ

ダイバーシティ経営を採用力強化というメリットに繋げるためには、具体的な制度設計と情報発信の両輪で進めることが重要です。ここでは、そのための実践的なアプローチを3つご紹介します。

採用プロセスにおけるバイアスの排除

履歴書から性別欄や顔写真をなくす「ブラインド採用」や、評価基準を明確にした「構造化面接」の導入は、採用過程における無意識のバイアスを排除し、候補者の能力やポテンシャルを正しく見極める上で有効です。これにより、これまで見過ごされていたかもしれない優秀な人材にアプローチできる可能性が広がります。

多様な働き方の選択肢を提供する

リモートワークやフレックスタイム制度の充実はもちろんのこと、育児や介護といったライフイベントと仕事を両立できる支援制度を整えることは、多様な人材が長く働き続けられる環境の基盤となります。こうした制度の有無は、多くの求職者が企業を選ぶ際の重要な判断基準となっています。

「社員の声」を通じてリアルな姿を発信する

制度を整えるだけでなく、実際に多様なバックグラウンドを持つ社員がどのように活躍しているのかを、自社のオウンドメディアや採用サイト、SNSなどを通じて積極的に発信しましょう。社員インタビューや座談会などのコンテンツは、求職者にとって企業のリアルな姿を知る貴重な情報源となり、「この会社なら自分も活躍できそうだ」という共感や信頼を醸成します。

このようなダイバーシティ経営の取り組みこそが、採用における大きなメリットを生み出します。

ダイバーシティ経営は、企業の未来を担う人材への投資

本コラムでは、ダイバーシティ経営がもたらす採用力強化という戦略的メリットについて解説しました。激化する人材獲得競争において、多様な人材から「選ばれる企業」となることは、企業の生命線を左右する重要なテーマです。

ダイバーシティ経営への取り組みは、企業の社会的責任を果たすと同時に、事業成長の原動力となる優秀な人材を確保するための、極めて合理的な経営判断であると言えます。それは、企業の未来を担う人材に対する最も確実な投資の一つなのです。

株式会社コトラでは、人的資本経営に関する深い知見と豊富な実績で、貴社の課題解決をサポートします。キャリア採用支援(構造化面接の導入、プロセス最適化)や、採用ブランディングに繋がる人的資本開示の高度化支援など、より具体的なご相談は、お気軽にお問い合わせください。

コンサルタント紹介

杉江 幸一郎
ディレクター ISO30414リードコンサルタント

東京大学経済学部経営学科卒。大手メーカー、通信事業者、IT企業など上場事業会社にて経営企画、事業戦略、新規事業立ち上げ等の責任者を歴任。上場企業取締役、CISO および ISO事務局等も担当。

コトラでは、ISO30414を始めとした人的資本経営のコンサルティングに従事。ISO30414リードコンサルタント。ESG情報開示研究会、人的資本経営コンソーシアム、地方創生SDGs官民連携プラットフォーム会員。
X(旧Twitter):@Kotora_cnsl


蘇木 亮太
コンサルタント ISO30414リードコンサルタント

同志社大学法学部卒。大手教育系企業でのコンサルタント経験を経て、金融系スタートアップに入社。 組織・人事企画チームに所属し、エンゲージメント向上施策やDE&I推進、研修開発、人事制度運用等を担当。

コトラでは、有価証券報告書・統合報告書における人的資本開示、ISO30414、人事組織コンサル等に従事。ISO30414リードコンサルタント資格/日本ディープラーニング協会G検定保有者。


大西裕也
リサーチャー兼コンサルタント

神戸大学大学院経済学研究科卒。教育経済学を専攻。

コトラでは、ISO30414認証取得支援及び人的資本開示動向のリサーチ、人事データ分析・レポート作成等に従事。
DX推進パスポート(G検定、データサイエンティスト検定、ITパスポート)、一種外務員資格取得者。


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